「無邪気」「優雅」「快活」「友好的」―
キャバリアを表現する言葉はたくさんあります。
そのどれもが私たち人間に対して、良い印象を与える言葉ばかりです。
逆に言うと、キャバリアは、「乱暴」「疑い深い」「下品」といった、
マイナスの言葉が似合わない犬なのです。
愛玩犬の中でも、最もフレンドリーで、優しく、
しつけやすく、家庭犬としては最高です。
人間のよいパートナーとなってくれるでしょう。
キャバリアは、どんな環境にも順応しやすく、一緒にいてもストレスが溜まりません。
また少々嫌な体験をしても、あまり根に持つことがありません。
小さな子供がいる家庭や犬を飼うのが初めての方にはおすすめの犬種です。
しかしこういう「友好的」な性格ですから、
番犬としての仕事を望むとしたら、不適切だと言わざるを得ません。
キャバリアは本来、警戒心や猜疑心、攻撃性といった、
番犬に必要な精神を持ち合わせていないからです。
このような性格なので、何かのときにキャバリアの方から
攻撃する心配はほとんどありません。
逆に相手から攻撃されたときのことは、飼い主として考えてあげなくてはいけません。
襲われた時のショックで、心が深く傷ついてしまい、
性格まで変わってしまうこともあるからです。
キャバリアは、このように、誰からも愛される、
そして愛すべきキャラクターだからこそ、
世界中の多くの人々のハートを捕らえて離さないのでしょう。
「ヴァン・ダイクの絵に描かれているような犬を」
キャバリアの歴史は古いとも新しいとも言えます。
中世、小型のスパニエルはイギリス貴族達に愛され、
家の中だけでなく、外出の時も常に足元でお供をしていました。
中でもチャールズ2世が寵愛したことから、これらの小型のスパニエルは
「キング・チャールズ・スパニエル」と呼ばれるようになりました。
その後、可愛らしさを求める流行に合わせて、日本の狆(チン)と交配。
より小さく、愛きょうのある顔へと変わったのです。
けれども近代になり、人々は現在のキング・チャールズ・スパニエルが、
かつて王や貴族に愛された頃とは姿や形が異なる犬になっていることに気づいたのです。
とうとう画家ヴァン・ダイクが描いた「キング・チャールズ2世」の
絵に描かれているような犬を育てた人に、賞金を出すという騒ぎにまでなりました。
その結果、長い口元と平らな頭、たっぷりしたふさ毛を持った
犬達が見られるようになったのです。
サイズも大きくなり、昔の狩猟犬の面影もよみがえりました。
そしてこれらの犬達は、それまで同じと見なしていた
キング・チャールズ・スパニエルとは、別の犬種として扱われるようになりました。
そこで「騎士」という意味の「キャバリア」を、犬名の頭につけたのです。
こうして現在の、優雅で快活な
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが誕生しました。
キャバリアは友好的で愛情深く、格好のコンパニオンとして、
これまで多くの人々に愛されてきました。
けれどもその人気のために、キャバリアは
好ましくない障害を抱えることにもなりました。
かつてキング・チャールズ・スパニエルから
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルへと変わる過程で、
また近年のブームなどで人気が高まると、集中的な近親交配が行われました。
この結果、キャバリアは循環器疾患の発生率が高い犬種となってしまったのです。
中でも心臓疾患など、重大な疾患をかかえてしまった犬は、
当然のことながら寿命も短くなってしまいます。
キャバリアは同じくらいのサイズの他の犬種と比べて平均寿命が短く、
10年位であるという保険会社のデータもあるのです。
大切に飼われ、長生きする犬もたくさんいますが、
多くの専門家がキャバリアの平均寿命は9〜12年程度だと考えています。
キャバリアの疾患のほとんどが遺伝性のものであるため、
キャバリアの子犬を飼おうとする時は、その親、できれば数代前までさかのぼって、
病歴をチェックすることが望ましいでしょう。
また年齢とともに体力がおとろえ、心臓にも負担がかかるようになります。
シニア期になる6、7歳頃からは、適切な食事や運動ができているか、
日常から気を配ってあげることが大切です。